遺体未確認の遺族補償を政府に命令―バングラ衣料品工場火災事故 – ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

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 【ダッカ(バングラデシュ)】バングラデシュで昨年11月発生した同国最悪の衣料工場火災で111人の犠牲者とともに19歳の娘を亡くしたルキヤ・ベグムさん(45)は、ようやく正義を勝ち取る兆候をみた思いだ。

 バングラデシュの裁判所は24日、ベグムさんの娘ヘナさんと他の従業員15人の遺族に十分な補償金を支払うよう政府に命じた。16人の遺族たちは、昨年11月24日にダッカ郊外のタズリーン・ファッションズ社の縫製工場で発生した火災で、16人が身元の識別もできないほどに焼け焦げたと主張していた。

 人権擁護活動家は、DNA鑑定でさえも身元を特定できず「不明の16人」と呼ばれたのは、法医学鑑定の不手際と手続き上のミスによると主張していた。政府はDNA鑑定の不手際を否定したが、手続き上のミスはあったかもしれないと認めた。裁判所判事はこれを批判して今回の命令を下した。

 火災発生のちょうど1年後に出された裁判所の決定は、犠牲者の補償を求めて戦ってきた遺族にとって最初の希望の光になる。しかし、それはまた、今年4月24日に発生したラナ・プラザ縫製工場ビルの倒壊の犠牲者にとって険しい道が控えていることを示している。同ビルの倒壊事故では死者1100人以上、負傷者数千人に上っている。

 タズリーン工場火災の判決で裁判所はまた、負傷者数百人を含む全ての犠牲者に対する「国際基準に基づいた」補償額を設定するよう政府に命じた。この一件は、タズリーン犠牲者のための正義を求める活動家によって提訴された。

 死亡したヘナさんは当時、衣料工場の従業員で一家の稼ぎ手だった、と母親のルキヤさんは言う。ルキヤさんは、娘を失った悲しみに加えて、政府による不当な扱いに一層傷ついたという。政府は、法医学上の証拠がないことを理由に、娘が火災で死んだと認めなかったからだ。

 ルキヤさんは「1年間、彼ら(政府当局者)は娘が工場で働いていなかったと言い張った。わたしが娘の遺体を示せないから、というのだ」と述べ、「ここにきて、若干のお金が得られると彼らは言う。しかし、娘は戻ってこない」と語った。

 タズリーン工場ではウォルマート・ストアーズ、シアーズ・ホールディングス、C&A、KiKなど世界的な小売業者のために衣料品を製造していた。同工場の火災以降、死亡した従業員97人の遺族は国際労働グループが設置した基金から1人当たり70万タカ(約89万円)が支払われた。

 裁判所は24日、97遺族に支払われた金額は不十分だとし、政府がもっと寛大な補償パッケージを組むよう命じた。また、この補償パッケージは、国連の国際労働機構(ILO)の条約に沿った世界的な基準を土台にし、喪失所得、被害・葬儀費用などを考慮して算定すべきだとしている。

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