ZARA創業者が構築した「ファストファッション」というシステム – ハーバー・ビジネス・オンライン

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 世界をリードするファストファッションブランド「ZARA」。創業者アマンシオ・オルテガ(79才)は、資産679億ドルを所有して、フォーブス富豪者番付4位にランキングされているものの、メディア露出を好まない彼の姿は、ほとんど報じられることがない。

 貧しい家庭に育ち、衣料品店で働き始め、独立をしたことから始まった「ZARA」は、如何にしてファストファッションの牽引者になり得たのか。アマンシオ・オルテガの実像に迫る短期集中連載第2回。

⇒第1回ファストファッションの世界を制した男――ZARA創業者の実像 http://hbol.jp/40285

オルテガが構築した「ファストファッション」

アマンシオ・オルテガ

「Forbes」の億万長者ランキング4位に入ったアマンシオ・オルテガ(『Forbes』より)

 それまでのアパレル業界はコレクションを1年前に創作し、3か月の納期で生産して、小売業者にシーズン前に1~2度商品を納入するというパターンであった。

 そのシステムを満たすには充分な数の商品を生産する必要があり、即ち売れなければ在庫として残るというリスクの高いシステムで ある。

 しかもこのリスクに加えて、各流通経路を通る度にマージンが加算されて、小売価格も競争力が薄いものになっていた。

 アマンシオは12才から衣類関係に従事していた経験からこの流通システムの盲点を充分に知り尽くしていたのである。

 そしてこの盲点を打ち砕くべく、彼が持っている小売ショップZARAを利用して。生産から直販を一括して行なうファストファションを構築して行ったのである。

ZARAの拡大、そしてインディテックスへ

 ZARAは順潮に進展し、アマンシオは1985年にインディテックス(Inditex)を創設した。これは彼が展開して来た異なったアパレル事業を総括する組織なのである。この傘下に現在のZARAの他に、プル・アンド・ベア(Pull&Bear)、マッシモ・ドゥティ(Massimo Dutti)、バークシャ(Bershka)、オイショ(Oyhsho)、ストラディバリウス(Stradivarius)、サラホーム(ZARA Home)が、それぞれ独立ブランド企業として加わった。そして最近買収したウテルクエ(Uterqüe)も傘下に加えている。それぞれが異なった商品を販売している。

 このグループの中でZARAの売り上げが全体のほぼ65%を占めている。

 ZARAは若い女性層をターゲットにしていると言われているが、実際には結構年配の女性もZARAで買いものをしている。

 ZARAが急成長した要因は、安価で異なったデザインの衣服を色々と容易に購入出来るという理由からだ。スペイン人もイタリア人と同様にファッションには非常に敏感な国民である。ZARAが登場する前までは、衣類は安くないので、多くの衣類を購入することが出来なかった。しかし、ZARAはその殻を破り、デザインセンスの良い衣類を複数購入出来て、しかも安いので1~2年着て、飽きても損をした感覚に襲われない。

 その一方で、ZARAも消費者に常に購買意欲をそそる為に、新しいデザインモデルを絶えることなく市場に出して行くポリシーを堅持している。その為に、現在世界で600人の情報屋が流行の流れを本社に報告し、200人のデザイナーによって新しいモデルをインディテックス全体で年間15,000アイテムを生み出しているという。

 スペインの代表紙エル・パイスによると、2014年12月の時点でインディテックスの世界での店舗の数は6,570店舗。日本は122店舗。東京の1号店はZARAの丁度1000店舗目だった。今もなお、ZARAの店舗は毎日世界のどこかで最低1店舗がオープンしていると言われている。

 そうしてオープンした店内は毎週展示を替えをし、40%模様替えをしている。また3日ごとに新しいモデルが入荷するシステムになっている。しかしその生産数量は会社の規模に比べ少ない設定にしてある。直ぐに在庫切れを助長するシステムになっているからだ。これで店内の商品のマンネリ化を避けているのである。

※次回は、第3回『アマンシオ・オルテガの人物像、そして経営哲学』に続きます。

<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。





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