ZARAに学ぶ、デジタル時代のファッションブランド哲学:いまこそ迅速化すべき4つのポイント – DIGIDAY[日本版]

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ZARAは、ファッション業界にとって、目の上のコブといえる。ファッションブランドがランウェイで新しいスタイルを発表した数週間後には、ZARAで類似品が売り出されるからだ。

インディテックス(Inditex)というアパレルメーカーによるファストファッションブランド「ZARA(ザラ)」。つい先日、2016年の第1から第3四半期において、昨年比で9%も増益があったと発表された。これは24億ドル(約2800億円)に値する。ZARAに扇動される形で、ファンション業界は消費者からの要求やソーシャルメディア中心のトレンドに慌ただしく対応する必要がでてきた

ファストファッション界の巨人となったZARAは、もちろん問題点も抱えている。大量生産における環境汚染や労働環境について批判されることが多いのだ。しかし、ZARAと競争するにあたり、従来のリテール企業たちがZARAから学ぶこともある。

「ZARAは従来のリテール企業たちの足元に火をつける格好となった。ZARAと同じような成績を出そうと思うと、リテール企業は根本的な改革をしないといけなくなってしまう。しかし、ここまでファッションブランドが行った対策にも優れたものが出てきている」と語るのは、L2のファストファッションに関するリテール専門レポートを制作したケイトリン・アイルワード氏(シニア・リサーチ・アソシエイト)だ。

現存のビジネスモデルを根本的に作り変えてしまうことなしに、ZARAの成功からブランドたちが学べる点について以下にまとめた。

体制変更して素早く「販売」

バーバリー(Burberry)、マイケル・コース(Michael Kors)、トム・フォード(Tom Ford)、そしてトミー・ヒルフィガー(Tommy Hilfiger)といったブランドが、プロダクト出荷スケジュールを早めたことで「(ランウェイで)見たものはすぐに買いたい」という消費者たちの欲求に答えたのは大胆な決断であった。

それまでは新しいプロダクトがランウェイで発表されてから店頭で買えるようになるまでに長く待たなければならない時間があったからだ。人々の目にさらされてすぐに販売が開始されることで、ZARAによる類似品の販売の脅威も減らすことができる。

アイルワード氏は「見たものはすぐに購入できるというスタイルは競争力をもつ。従来のリテール企業からこの動きが出てきたことで、注目も彼らに引き戻されることになった」と語る。これを可能にするためには内部での生産システムを変更しなくてはいけなかった。

ランウェイでの発表と同時に、店舗へ出荷できる状態にコレクションを作るためには、迅速な生産システムが必要不可欠。レガシーブランドの多くは、こうした素早い生産スタイルに慣れていない。

バーバリーのCEOであり最高クリエイティブ責任者であるクリストファー・ベイリー氏はこの点について、「ビジネス・オブ・ファッション(Business of Fashion)」に語っている。生産システムの変更さえ実行できれば、コレクションについての反省を反映し、新しいインスピレーションを集める選択肢が増えたということだ。

データ重視で素早く「企画」

ラグジュアリーファッション以外でも、リテイラーはデータを活用して消費者トレンドにより早く反応しようとしている。コーズ(Kohl’s)が最近、ミレニアル世代向けに発表したブランドにK/Labというのがある。K/Labはソーシャルメディアのデータを使い、素材やスタイル、色についての判断を下しているという。

K/Labの3人編成のチームはソーシャルメディア、ブログ、そしてカスタマーに関する分析データを読んで、プロダクションやデザインについて判断を下す。そして、13週間のペースでプロダクトを生産していくという。

11月には、ロード&テイラー(Lord & Taylor)が3つのブランドとパートナーシップを組んで、毎週何かのプロダクトを出していくという計画を発表した。3つのパートナーは、アイザック・ミズラーイ(Isaac Mizrahi)、H・ホールストン(H Halston)、そしてハイライン・コレクティブ(Highline Collective)だ。毎週新しいアイテムを追加することでロード&テイラーはZARAと同じペースで新しい在庫を獲得することになる。

こういったデータに基づいた、頻繁な在庫追加のスタイルは、ZARAが巧みに行ってきた戦略と重なっている。ZARAはこれらをさらに大規模に、そして均質に行っているのだ。

「購入者たちが実際にいま見ているもの、こだわりをもってソーシャルでシェアされているもの、実際に欲しいと切望されているものであることが前提だ。(ブランドたち)はマーケットでデザインをテストして、どのデザインが人気か特定することができる。そして、それをほかのより確立したラインに取り組むことができる」と、アーウィン・ペンランド(Erwin Penland)の最高プランニング責任者であるジェシカ・ナヴァス氏はいう。

近場で製造して素早く「納品」

ZARAの在庫が次々と入れ替わることの理由のひとつに、製造の60%がヨーロッパにあることがある。そのため商品が店舗に到着するのに長い期間待つ必要がない。

ZARAの製造現場が販売店舗の近くに存在していることについて、アイルワード氏は「大きな要因だ」と同意する。「そのおかげで工場と倉庫、店舗をつなげることがずっと容易になる。ほかの企業も真似をしはじめている」。

J.C.ペニーとギャップ(Gap)は、中央アメリカとカリブ地域に製造拠点のいくつかを移動させた。アジアからこういった地域に製造を移動させることで製造時間の短縮に結びつくのだ。アメリカ国内で衣服の全行程の製造をしてしまうことには問題もついてくるものの、製造業者とのコミュニケーションやプロダクションチェーンの管理という点ではるかに利点がある。

グロッシー(Glossy)のインタビューでアメリカン・ジャイアント(American Giant)のCEOであるベイヤード・ウィンスロップ氏は「品質に関する問題を見つけるのがはるかに容易になった。パートナーがLAにいれば、問題について電話一本で話をすることができる。そうでなければ、コミュニケーションという視点からいうと、失敗がどこにあるのか特定することは、すごく難しくなる」と語った。

ソーシャル上で素早く「勧誘」

ファストファッションに関するL2による専門レポートでは、ZARAが行うオンラインでの戦略がふたつ紹介されている。ひとつはプロダクトページで、売り切れになりそうなサイズやプロダクトに焦点を当てることで、急がないといけない雰囲気を生み出すことだ。アイテムが売り切れた場合でも、在庫情報を閲覧したユーザーがいる場合、通知を受け取ることができる。ZARAはこの情報を使って、どのようなスタイルやトレンドにより投資をすべきか決めることができる。

ZARAのプロダクトのなかで事前に計画されている部分は15%しかない。この「緊急性」を強調するという方法は、ほかのブランドも取り入れはじめている。フェンディ(Fendi)はその例だ。フェンディのeコマースサイトでは、一定時間以上ユーザーが滞在した場合、ほかに何人が同じプロダクトを見ているか表示される仕組みになっている。

もうひとつは、ZARAのインスタグラムフィードが、ミニマルなプロダクト写真が並べられた自社サイトと似た雰囲気になっていることだ。各ポストには参照用の番号が割り当てられており、オンラインでの購入を簡単にしている。この手法もリボルブ(Revolve)アンテイラー(Ann Taylor)によって行われており、ソーシャルのユーザーたちが好きなプロダクトを見つけやすくなっている。

「ブランドのなかにはキャプションを絶対視しているものも存在する。もっと賢いキャプションやアクションを引き起こすような文面を入れたいと思っているので、こういった手法をとることはない。しかし、フィードをただ眺めているだけのほとんどのユーザーにとっては、そこまで差別化されるものではない」と、マーケティング分析会社ダッシュ・ハドソン(Dash Hudson)のCEOであるトーマス・ランキン氏はいう。

Hilary Milnes(原文 / 訳:塚本 紺)

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