スカート専門ブランドを立ち上げた“独立女子”【私が会社を辞めた理由】 – ウートピ

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2017年春夏コレクションから販売をスタートするスカート専門のブランド「SHE Tokyo」(シートーキョー)。ありそうでなかったコンセプトのブランドを立ち上げた浅葉果林さん(34)は、百貨店と量販店というスタイルの異なる2つの小売店でキャリアを積んできました。

もともと「独立するなんて少しも考えていなかった」という浅葉さん。日々の仕事にがむしゃらに取り組むうちに、気づけば、薄っすらと描いていた夢を形にできる力をつけていました。

「会社を辞める不安にやりたい情熱が勝ったとき、人はとても強くなれる。」会社を辞めて新しい世界にこぎ出した浅葉さんに、これまでの道のりを聞きました。

<浅葉さんの「辞める。」ヒストリー>

22歳 大学卒業後、百貨店に就職。
29歳 百貨店を退職。結婚し、専業主婦に。
30歳 大手SPA(製造小売業)研究所に入社。
34歳 退職し、「SHE Tokyo」を立ち上げる。

数十年に一度のチャンス。ゼロからのフロアづくりを経験

スカート専門のブランド「SHE Tokyo」を立ち上げた浅葉果林さん

スカート専門のブランド「SHE Tokyo」を立ち上げた浅葉果林さん

大学を卒業した浅葉さんが最初に就職したのは大手百貨店。

「人と接したり、お店に買い物に行ったりするのがすごく好きで、メーカーやブライダルなどいろいろな分野の会社を受けていました。百貨店に入ったのは、部署が変わると会社が変わるというくらい多岐に渡る仕事をしていたから。早期に仕事の方向性を絞り込む必要はないかなと考えて、まずは入ってみようと思ったんです」

配属されたのは、銀座店の婦人服売場。当時の百貨店の婦人服売場と言えば「どの百貨店に行っても変わりばえがしない」というのが定説でしたが、中でも独自の商品セレクトで評価されていた自主編集売場(百貨店が企画・セレクトした商品を陳列する売り場)で販売スタッフとして勤務することになります。

4年が経ったとき、変化が訪れました。数十年ぶりの大幅リモデルが決定し、店舗をイチから改装することになり、浅葉さんは上司と2人で、マーケティング、コンセプト設計など、ワンフロアのリモデルをゼロから任されることになったのです。

「時代に合った独自性のある楽しいフロアにしようということで、フロアの象徴となるオリジナルのショップをゼロから作りました。当時の上司が、私の意向をくんでくださる人で『あなたたちの等身大の売場なんだから、まずは行きたい、欲しいとと思えるような売場を描いてみて』と。すごく自由にやらせてもらえたんです。その上司の元で思いっきりやらせてもらえたことにとても感謝しています」

とはいえ、20代だった浅葉さんには大きなプレッシャーものしかかりました。

「最初は断ったんです。実はIFIビジネス・スクールというファッション専門の学校に1年通わせてもらえる制度があり、それに手を挙げていたところでした。上司からは『IFIの公募は毎年あるけど、リモデルは何十年に一度。サラリーマン人生で今しか経験できない』と言われ挑戦したい反面務まるのかどうか自信もなく葛藤していました。そうこうしているうちに辞令が出て……それが企業の常ですよね(笑)。今から考えるとビジネスを実践で学ぶことができて、いい経験でした」

魔の30歳。「私ってこのままでいいかな…?」

それから3年、浅葉さんは新たな挑戦に夢中で取り組み、心血注いだ売場は無事にオープン。ある程度フロアが軌道に乗り始めたとき、少しプライベートに目を向ける余裕が生まれます。

「気がついたら友人たちは結婚し、中には子どもが2人いる人も。『私ってこのままでのかな…?』という不安にかられました」

それまでは「結婚も特別意識していなかった」という浅葉さん。

「なんでしょう、魔の30歳?(笑)。仕事が一段落して、プライベートも充実させたいと考えるようになったんです。ある種の燃え尽き症候群だったのかも。すごくがんばったという自負と、もっとできただろうという思いが交差していて。器用じゃないのであれもこれもと考えられなくて、いったんリセットしようと決めました」

そして7年間勤めた百貨店を退職。仕事漬けの日々から一転、浅葉さんは結婚して専業主婦になります。

専業主婦にはなったけど…

「結婚してからはそれまでできなかったことをしたり、友人や家族との時間を大事にと自由に過ごしました。でも、2〜3ヵ月でもうだいぶ休んだなという気落ちに(笑)。子どもができたわけでもないし、半年もするとまた働き始めようかなと思い始めました」

再就職活動の結果、アパレルの仕事を、ものづくりとう別の視点からやってみたいと考え、某大手SPA研究所に入社。商品企画・マーケティングを担当することになります。

売り手主導で商品を発信する百貨店に対し、同社が扱うのは、消費者の「必要」を突き詰め、生活必需費として量販店やコンビニエンスストアで販売される衣料品。小売の中でも、百貨店と対局の位置づけにあるばかりか、販売からものづくりの現場へと浅葉さんの立場も変わります。

「前職と通じるものもありましたが、企画の起点も業務内容も全く違ったので、またゼロからのスタートでしたが本当に勉強になりました」

4年勤めた後に浅葉さんは退職し、「SHE Tokyo」を立ち上げることになります。

外から見れば販売、ものづくりの現場と一本筋が通ったキャリアを築いているように見える浅葉さん。しかし「それぞれの会社に入社したときは、ブランドをつくることは夢のようなもので明確な展望があったわけではない」と振り返ります。

「新しいことを知るのはすごく刺激的だし、ものづくりの裏側も分かって、充実した日々でした。百貨店での経験とものづくりの現場を経て、自分ができる仕事の幅が広がってきたと感じました。その頃からですね。自分が思ったものを発信したい、自分でお客さまに届けて喜んでもらいたいと抱くようになりました」

思い返せば幼少の頃から自宅にはいつもたくさんの来客があり、おもてなしをして人に喜んでもらうことがすごく好きだった。

そんな浅葉さんの思いは、後に「SHE Tokyo」を共に立ち上げる会社のメンバーとの出会いで一気に形になります。メンバーとは仕事を通じて信頼関係を築いていく中で、やりたい思いがシンクロし「一緒に日本一のスカートブランドを作ろうという話になりました。そこからは早かったですね」

一度目の「辞める。」とは違い、今度の退職に迷いはありませんでした。

「辞める。」勇気があれば、やりたいことは始められる

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産声を上げたばかりの「SHE Tokyo」ですが、そもそも、なぜスカートだったのでしょうか?

「百貨店時代から思っていたことなのですが、世の中には2対1くらいの割合でパンツ人口のほうが多いんです。ブランドサイドでもパンツの展開のほうが多く、スカートに注力しているブランドがないと感じました。

また、30代にもなるとTPOに気を配らなければいけない場面もたくさん出てきます。大人の女性が妥協せずにはきたいと思える、ときめくスカートを作りたい。自分がはきたいと思えるスカートを作って、お客さまにも共感していただきたいと考えました」

大人の女性に向けた、「出過ぎず、存在感のある佇まい」がブランドのコンセプト。商品企画とPR、セールス担当の浅葉さんを含め、チームは男性3人と女性2人の構成。デザインはベテランのデザイナー中心にチーム全員で意見を出し合うそう。

「男女双方の目が入っているのがいいのかも。女性は着回しがきくどうか、シーズンレスかどうかなど、気を配る部分がすごく現実的なんです。その点、男性のほうが女性のことを客観的に見ているので、後ろ姿も全方位美しいか、エレガントかどうかといった視点でデザインを考えるのは長けていると思います」

3月1日からオンラインショップで販売をスタート。それに先駆け、2月15日から卸先となる銀座三越と日本橋三越本店で2週間の限定店がオープンしました。

「女性を意識して行く街ということで銀座での展開を希望していました」。銀座で働くかつての上司や同僚の顔も。「皆さんに応援していただいています。知恵もお借りしていますし、助けていただくことが多いですね」

「今までお世話になった2社のどちらかが欠けていても、今の私はなかったと思います」と言う浅葉さん。浅葉さんにとって、「辞める。」とは?

「私にとって『辞める』というのは全然ネガティブなことじゃなくて、新しいことを始める原動力。年齢や経験を重ねていくうちに、会社で築き上げた仕事や人間関係には情が湧くもの。それらを置き去って、馴染んだ環境から出ていくのは簡単ではありません。でも、それに勝るくらい“やりたい”と思うことができたとき、勇気が湧く。辞める勇気があれば、やりたいことを始める勇気も出ると思います」

(新田理恵)

浅葉果林(あさば・かりん)
大学卒業後、百貨店に入社。婦人営業部にて自主編集売場を経験。銀座という土地柄、自立した多様な女性のお客様の接客を担当し、パーソナルな提案をする楽しさに魅了される。
その後、店舗リモデル、バイイング、商品企画などの経験を経て、大手SPA会社へ転職。百貨店とは対照的なマスに向けたモノづくりの現場で、マーケティングから商品企画及び商品開発を担当。売り手・作り手両面経験し、かねてから思い描いていた、消費経験豊富な大人の女性が心ときめくような服作りに挑戦すべくブランド「SHE Tokyo」を立ち上げる。自社で運営するオンラインストア(3/1 販売スタート)を中心に、実物を試せるイベントを年に数回開催していく予定。





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