進出日本企業インタビュー第23回「プレナス」 – 日豪プレス

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第23回 プレナス

岡 啓一郎 Hotto Mottoオペレーションズ・マネジャー

(Photo: Naoto Ijichi)
(Photo: Naoto Ijichi)

持ち帰りの弁当店「ほっともっと」や定食チェーン「やよい軒」で知られる日本の飲食大手プレナス(本社福岡市)。オーストラリアでは、「ヤヨイ」(Yayoi)ブランドの高級定食レストラン3店舗に加え、昨年12月には「ほっともっと」(Hotto Motto)の1号店をオープンした。岡啓一郎オペレーションズ・マネジャーに、事業戦略について聞いた。(インタビュー=ジャーナリスト・守屋太郎)

「和の食文化をオーストラリアに伝えたい」
日本産の米で炊きたてのご飯をおいしく

――まず本題に入る前に、プレナスという会社の概要について教えてください。

創業者の塩井末幸(故・名誉会長)が1976年に設立した事務機器の会社が源流です。その後、拠点の長崎県佐世保市から九州地区、日本全国へと弁当店チェーンを全国に拡大していきました。2000年に東京証券取引所1部上場を果たし、現在では日本国内で「ほっともっと」2,600店舗以上、「やよい軒」を300店舗以上展開しています。

海外に初めて進出したのは7年前の2010年です。中国に合弁会社を立ち上げました。海外では現在、「ヤヨイ」ブランドでタイ157店舗、台湾9店舗、シンガポール7店舗、オーストラリア3店舗、米国2店舗、フィリピン1店舗展開しています。「ほっともっと」は、韓国8店舗、中国4店舗、そしてオーストラリアに昨年12月に1号店をオープンしました。

――海外展開を積極的に進める狙いは?

シドニーの複合商業施設「ザ・ギャラリーズ」内の「ほっともっと」店舗(写真:星川浩介)
シドニーの複合商業施設「ザ・ギャラリーズ」内の「ほっともっと」店舗(写真:星川浩介)

日本と同じ水準のサービスで、安心・安全な日本食を海外の方々に提供したい。日本の食文化を海外に広めたい。食文化を輸出したい。そうした使命感を持ってやっています。

消費者の米離れや減反政策の廃止など、日本では昨今、米作りをめぐる状況は変化していますが、農家の方々が一生懸命作ったおいしい白米を海外の方々に食べてもらい、本当に良いものを知ってもらいたいと考えています。

海外展開のカギを握るシドニー出店

――オーストラリア進出の経緯について教えてください。

100パーセント出資の現地法人を4年前の13年、シドニーに設立しました。14年6月に「ヤヨイ」ブランドの1号店をサーキュラ・キー(シドニー市内)にオープン。現在、タウン・ホール(シドニー市内中心部)、チャッツウッド(同北部)にも出店し、合計3店舗を営業しています。

日本の定食店「やよい軒」とは異なり、「ヤヨイ」は海外市場向けに展開しているジャパニーズ定食レストランのブランドです。中でも、サーキュラー・キーの「ヤヨイ・ガーデン」(Yayoi Garden)は、ヤヨイでは表現できない時間と空間の提供というコンセプトで、世界初の試みとして発信しています。こだわりの陶器などで和をより強調し、特別な日に食べに来て頂けるお店です。日本の著名シェフが開発したコース料理も提供しています。

一方、「ほっともっと」については、世界的に弁当ブームが起きていることから、今後、オーストラリアでも弁当の認知度が高まっていくと考えました。現在も現地でご活躍されている先人の方々のお陰で、日本食も浸透しています。オーストラリアはテイクアウェイの食文化も発達していますし、箸を抵抗なく使える人も多い。特にシドニーは多民族社会で、さまざまな国の人の嗜好を知ることもできます。

そのため、持ち帰りで成り立っている弁当という日本の食文化を広めていくことは、ビジネス・チャンスになると考えたのです。シドニー市内の中心地タウン・ホールにあるフードコート内に、昨年12月8日に1号店をオープンしました。

――オーストラリアでも弁当メニューを提供している日本食レストランはたくさんありますが、テイクアウェイ主体の弁当店という業態は、ほとんどなじみがありません。オーストラリアのお客さんの反応はいかがですか?

日本式の持ち帰り弁当について知らない国の方々に、これだけたくさん来店していただけるとは思っていませんでした。毎日来られる方、週に1~2回来店される方もおられ、順調に足を運んで頂いています。現時点のお客様のだいたいの人種構成は、西洋系オーストラリア人3割、中国系3割、その他3割、日本人1割といったところです。

「ほっともっと」の海外展開は、これまで中国と韓国のアジア圏に限られていました。より広い世界の人に弁当という日本の文化を伝えたいという思いで、西洋文化圏では第1号としてオーストラリアに出店しました。西洋人が、弁当という日本の食文化を受け入れることができるのか。メニューや味付け、価格設定はどうするべきか。今回のシドニー出店で得たノウハウは、「ほっともっと」海外展開の成功を左右する重要な一歩になります。

――実際に1号店をオープンしてみて、どのような課題を感じていますか?

「ほっともっと」は持ち帰りが基本です。冷めてもおいしさをキープするため、米の品質には徹底的にこだわっています。ただ、海外のお客さんの中には日本のご飯は柔らかいと感じる人もいて、一般的にバサバサしたご飯が好まれます。今まで自負してきた米のおいしさをどうやって浸透させていくか。日本と同じクオリティーの日本のご飯を地元の方々にどうやって「おいしい」と言って頂けるようにするか、どうやって本来の米のおいしさを啓蒙していくか、といったところが課題です。

ご飯とおかずの適度な分量も、日本と海外では異なります。日本では「ご飯のためのおかず」ですが、西洋人にとってご飯は「箸休め」という位置付けです。日本で一般的な弁当のご飯は、西洋人にとっては多いんです。代わりにおかずを増やさなければいけません。ヘルシー志向が高いので、サラダも多くする必要があります。

現在、おいしい日本産の米はそのままに、ボリュームたっぷりでご提供できる新メニューを開発しています。この号が発行されるころには、提供させて頂けるかもしれません。ぜひお楽しみください。

――「ほっともっと」の今後の事業計画と展望についてお話しください。

今年中にシドニー市内に数店舗を出店する予定です。都市型や郊外型など様々な店舗モデルを確立できればいいですね。他の大都市にも店舗網を広げ、5~10年後にオーストラリア国内で最低50店舗は展開したいと考えています。

現在は1号店の店内で全ての調理を行っています。しかし、多店舗展開になると、味をブレないようにするためにもセントラル・キッチンも設置する必要があります。オーストラリアではフライド・チキンの詰め合わせの人気も高いことから、利用シーンとしては、例えば鶏の唐揚げの詰め合わせといったホーム・パーティーの利用も想定しています。そうしたケータリング需要も開拓できればいいですね。

日本の食文化は、飽くなき探究心の下で、非常に高いレベルに発展してきました。努力を重ねてこられた先人の方々と共に、日本の食文化のすばらしさをオーストラリアに伝えていくことができればと思います。

●PROFILE おか・けいいちろう
福岡県久留米市出身。高校時代からアルバイト・スタッフとして「ほっともっと」に勤務。2000年久留米大経済学部卒。同年プレナス入社。5年間現場で店長を勤めた後、各地区や全国の店舗網を統括するポストを歴任。2016年より現職



<会社概要>
英文社名:Plenus AusT Pty Ltd
事業内容:日本食レストラン「ヤヨイ」、弁当店「ほっともっと」の運営
代表者:デービッド・コーツ
拠点:シドニー
従業員数:社員15人、店舗スタッフ100人以上

<会社沿革>
2013年3月 現地法人「Plenus AusT Pty Ltd」設立 
2014年6月 「ヤヨイ」ブランドの1号店「ヤヨイ・ガーデン」をシドニーのサーキュラ・キーに開店
2015年8月 「ヤヨイ・ジャパニーズ・テイショク・レストラン」をシドニー市内中心部に開店
2016年11月 「ヤヨイ・ジャパニーズ・テイショク・レストラン」をシドニー北部チャッツウッドに開店
2016年12月 「ほっともっと」1号店をシドニー市内中心部に開店



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