サニブラウンの痛恨ミスに専門家が指摘 海外コーチの積極修正が原因 … – livedoor

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男子100m準決、スタート直後にミス…18歳の飽くなき挑戦心が招いた「やらかし」

 陸上の世界選手権(ロンドン)は5日、男子100メートル準決勝でサニブラウン・ハキーム(東京陸協)が10秒28の2組7着で日本勢初の決勝進出はならず。スタート直後につまずき、大きくバランスを崩したことが響いた。本人が「やらかしてしまった」という痛恨のミスは、なぜ起きたのか――。専門家は18歳の飽くなき挑戦心とともに、海外コーチの「積極修正」を指摘した。

「普通に走っていれば、決勝には行けたのではないでしょうか」

 こう話したのは、アテネ五輪の1600メートルリレー代表の伊藤友広氏だ。ランニング指導のプロ組織「0.01」を主催する同氏は、つまずきが起こった原因について分析する。

「スタートの上半身が突っ込み、角度がキツくなりすぎてしまった。本人は『足が出てこなかった』というコメントを残していますが、練習でもあんなミスはなかったと思います。彼の場合、例えば、多田選手や山縣選手と比べ、スタートで飛び出した時の体の角度が起き上がる傾向にある。それを修正しようと試みたのだと思いますが、普通は体が足をついた時に一直線になるものが、腰から上だけ折るような形になってしまった」

 大一番で起こってしまった痛恨のミス。結果論でいえば、決勝をかけた場面で修正を加えることはリスクが高かったようだ。

「予選の走りはすごく良かった。ラストも余裕があったし、スタートも上手に出ていた。本番での技術の修正は非常に難しいものですし、ここまでの事前準備が全てとも言えます。準決勝に臨む上で修正の必要はなかったかもしれないし、(決勝まで)3本いつも通りにやるくらいでやることが必要だったように感じます」

 こう話す一方で、将来的に世界記録を目指す18歳の進化を求める挑戦心が遠因になった可能性も指摘。「反対に言えば、彼自身がそれだけ高みを目指しているからこそだったかもしれません」とも語った。

リスクを恐れない海外コーチの積極修正「大舞台でいきなりは難しかった」

 伊藤氏とともに「0.01」でJリーガー、プロ野球選手など現役アスリートのスプリント指導を手掛ける200メートル障害日本最高記録保持者の秋本真吾氏は「本当に残念です」と結果を振り返り、ミスが起こった背景として「コーチの存在」について言及した。

「海外のコーチ独特の“リスクを恐れない”という積極的な修正だったのかと思います。予選の走りも良かったですが、強いて言えば、リアクションタイムが速くなかった。それでも、余裕でパスできたので、もう一つ手を加えるとするなら、スタートになったのかなという印象です」

 現在、サニブラウンはオランダのレナ・レイダーコーチに師事。積極的に走りに修正を加えたことが、若き日本人にとって厳しい結果を招いてしまった。

「これまでやっていなかったことを準決勝でできず、ハマらなかった。彼もまだ18歳。インタビューも今までにないくらい動揺していたし、膝を突いて頭を抱える姿なんて、これまで見たことがなかった。チャレンジが成功していたら、一つ上のステージに行けていたと思いますが、大舞台でいきなりの形は難しいものだったと思います」

 真の世界のトップ選手を目指す上では、ミスも帳消しにする「強さ」が求められる。

「世界の本当に強い選手なら、ああいうことが起こっても10秒0から10秒1くらいにまとめて走ってしまう。為末大さんは『世界ではみんな死んだフリをしている』と言っていましたが、ここぞの場面で力を発揮してくる。そういうところに速さだけでなく、強さが問われる。サニブラウン選手自身もいい経験になったと思います」

 果たして、不本意な結果となったことが今後に影響を及ぼすことはあるのか。

「チームスポーツでは、競技によっては試合数が多く、また試合の中で挽回するチャンスがあったり、周りの選手がフォローしてくれたりすることで引きずらないこともできますが、陸上選手というのは心に負うダメージは大きく、引きずってしまいやすい。例えば、世界選手権なら2年後、五輪なら4年後までミスを取り返すチャンスは回ってこなくなります」

“大失敗”の挽回が「選手として器を試す機会に」…得意の200mで決勝進出なるか?

 だからこそ、サニブラウンにとっては今大会の残りのレースが重要になるという。

「彼は200メートルと400メートルリレーに出るので、挽回するチャンスがある。それが、器を試す一つの機会になる。200メートルは決勝にいけるチャンスがあるので、ここで失敗を糧にすることができれば、選手として次のステージにいけるチャンスが生まれるのではないでしょうか」

 伊藤氏は「今回の彼のミスは“大失敗”のミスなので、比較的、切り替えやすいのではないか」と期待した上で、今後に目を向ける。

「サニブラウン選手の場合、200メートルの方が期待できる。自己ベストの20秒32を更新できれば、決勝にいける可能性も十分あると思います」

 果たして、世界の舞台で犯したミスを挽回し、さらなる飛躍のきっかけとできるのか。サニブラウンの挑戦は、まだ終わっていない。

 ◇伊藤 友広(いとう・ともひろ)

 高校時代に国体少年男子A400m優勝。アジアジュニア選手権の日本代表に選出され、400m5位、4×400mリレーではアンカーを務めて優勝。国体成年男子400m優勝。アテネ五輪では4×400mに出場。第3走者として日本過去最高順位の4位入賞に貢献。国際陸上競技連盟公認指導者資格(キッズ・ユース対象)を取得。現在は秋本真吾氏らと「0.01 SPRINT PROJECT」を立ち上げ、ジュニア世代からトップアスリートまで指導を行っている。

 ◇秋本 真吾(あきもと・しんご)

 2012年まで400mハードルの陸上選手として活躍。五輪強化指定選手選出。200mハードルアジア最高記録、日本最高記録、学生最高記録保持者。2013年からスプリントコーチとしてプロ野球球団、Jリーグクラブ、アメフト、ラグビーなど多くのスポーツ選手に走り方の指導を展開。地元、福島・大熊町のため被災地支援団体「ARIGATO OKUMA」を立ち上げ、大熊町の子供たちへのスポーツ支援、キャリア支援を行う。2015年にNIKE RUNNING EXPERT / NIKE RUNNING COACHに就任。現在は伊藤友広氏らと「0.01 SPRINT PROJECT」を立ち上げ、ジュニア世代からトップアスリートまで指導を行っている。

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