グランドセイコー 新世界戦略発動(1/8) – クロノス日本版

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バーゼルワールドの会場でスピーチを行う、セイコーウオッチ代表取締役兼CEOの服部真二氏。グランドセイコーブランドの独立化に伴い、ビジネスモデルが中心だったラインナップを、今後はダイバーズウォッチやクロノグラフなどの本格スポーツモデルと、レディスモデルが牽引するエレガントウォッチの領域にも拡大する。

2017年のバーゼルワールドで最も大きなトピックのひとつとなったのが、グランドセイコーの独立ブランド化である。
1960年にリリースされたグランドセイコーは、以降、セイコーのフラッグシップに位置付けられていた。
しかし、グローバル化とラグジュアリー化を加速させるため、セイコーはその独立を決めたのである。

奥山栄一、三田村優:写真
Photographs by Eiichi Okuyama, Yu Mitamura
川端由美、広田雅将(本誌)、鈴木幸也(本誌):取材・文
Text by Yumi Kawabata, Masayuki Hirota (Chronos-Japan), Yukiya Suzuki (Chronos-Japan)

 2017年3月23日、バーゼルワールドのカンファレンスセンターに、世界中のウォッチジャーナリストが集った。彼らを前に、セイコーウオッチ社長兼CEO(当時、現会長)の服部真二氏がスピーチを始めた。

「グランドセイコーはそのデザイン、キャラクター、プレゼンテーション、そして最近では何よりも、そのキャリバーによって区別されてきました。そういったユニークなアピールを強め、また多くの人に知らしめるべく、私たちは一歩先に踏み出します。つまり、グランドセイコーを完全に独立したブランドにするということです。ここ、バーゼルワールドで私たちが紹介するすべてのクリエーションにおいて、グランドセイコーのロゴは12時の位置に置かれ、それはこれからのグランドセイコーすべてに適用されます」

 世界中のジャーナリストを招聘したことが示すように、今年からグランドセイコーは本格的に世界進出を開始する。12時位置のロゴを「SEIKO」から「Grand Seiko」に改め、文字盤上の表記を統一したのは、そういう意思の表明だった。

 グランドセイコーが海外進出を始めたのは2010年のこと。以降、セイコーはブティックを中心にグランドセイコーの拡販に取り組んだ。17年3月時点において、海外でグランドセイコーを取り扱うショップは、アジア・ヨーロッパ・中近東・オーストラリア・アメリカ・中南米まで全世界で200店に迫ろうとしている。スイスメーカーには及ばないが、わずか7年での取り組みと考えれば、驚異的なスピードだ。

 加えてセイコーは、見えないところで努力を重ねた。毎年、海外のジャーナリストやリテーラーを呼んで、グランドセイコーを製造する塩尻と雫石の工場に連れて行ったのである。製造現場を実際に見学し、関係者たちと親しく話した彼らが、グランドセイコーと日本のウォッチメイキングに好意を持つのは自然だろう。

 その帰結が、毎年のように高まるジャーナリストやリテーラーからの評価だった。今や、時計情報サイト“Deployant”創設者のペーター・チョン、ホディンキーの編集長であるジャック・フォスター、そしてドイツのジャーナリスト、ギズベルト・L・ブルーナーまでもが、グランドセイコーに対する愛情を吐露するに至ったのだから、10年前からは考えられない変化だ。

 同時に、セイコーの社内でもグランドセイコーのチームを中心に、ロゴを12時位置に移すというプランが進んでいた。長らく関係者たちは、このアイデアを温めていたが、後押ししたのは、グランドセイコーのブランド独立と、本格的な海外進出だった。満を持して、グランドセイコーは独立への舵を切ったのである。





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