巨人・Amazon、そこにチャンスを見出すエージェンシー | DIGIDAY[日本版] – DIGIDAY[日本版]

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エリック・ヘラー氏はレンタルサーバーの「ゴーダディ(GoDaddy)」にアクセスする必要があった。

ヘラー氏は、WWP傘下のAmazonコンサルティング会社、マーケットプレイス・イグニション(Marketplace Ignition)の創設者。ニューヨークへの飛行機のシートで、ドメイン名を2件、購入しようとしていた。機内Wi-Fiがつながると、ヘラー氏はクレジットカード番号を入力し、「AmazonAOR.com」と「WhosYourAmazonAOR.com」を入手した。

エージェンシー界には、Amazonの攻略には従来型のメディアバイイングのエージェンシーを超えたものが必要だとブランドを説得する、新しい動きがある。ヘラー氏はそのひとりだ。クリエイティブ資産、「Echo」の音声、広告の出し方、商品出荷のパッケージが適切かどうかの判断から、eコマースの巨人であるAmazonからの貴重なセールスデータの獲得まで、Amazonにおけるブランドのすべてを受け持つワンストップサービスが必要だというわけだ。

「Amazonのバイヤーはほかとは違う。ターゲット(Target)にいくと、ブランドのターゲットにおけるマーケティングとブランディングを見ている人たちがいる。実は携帯電話を出して、Amazonをスクロールしている」とヘラー氏。「ふたつのメッセージはしっかり結びついているだろうか?」。

Amazon志向のサービス開発

エージェンシーやその他のコンサルティング会社は、Amazonとなると、その大きさと混乱に、すなわち、そこにある仕事の大きさに駆り立てられ、血を嗅ぎつける。エージェンシーにとっての大きな違いは、ブランドのAmazonアカウントを手に入れるということは、広告だけではないということだ。サプライチェーンから物流、国境通過、eコマース管理、レビュー、さらには出荷まで、すべてが関係してくる。というのも、商品の在庫がなくなれば、広告は出なくなってしまう。

WPPはこの市場の先駆者になっているが、それはおそらく、今年のカンファレンスにおいてAmazonのため「夜も寝られない」とCEOのマーティン・ソレル氏が言明したことによる。WPP傘下のポッシブル(Possible)とマインドシェア(Mindshare)も、Amazonの広告の購入に関与するだけでなく、ヘラー氏が思い描くような機能を果たし、チャネル戦略から棚の管理まで、ほかの関係する部分も解決するAmazon志向のサービス開発に取り組んでいる。

「これはマーケットプレイス・イグニションだけでは構築できない」とヘラー氏。「WPPよりメディアを買っているところはないのだから、いまは我々のすべてのクライアントをひとつにすることを考え、Amazonのメディアバイイングの最大のグループを作り、そのうえで、コンサルティングやクリエイティブから範囲と規模の構築まで、あらゆる人たちと協力したい」と、同氏は語った。

Amazonはプラットフォーム

Amazon商品を開発しているエージェンシーはほかにも無数にある。テネシー州ノックスビルのトンブラス・グループ(The Tombras Group)は新たに作り、バーバリアン(Barbarian)は準備を進めている。オムニコムは、Amazonなどの小売メディアの検索エージェンシー、レゾリューション・メディア(Resolution Media)への注力を強めている。

混乱もしている。直接Amazonに売るベンダーたちは、Amazonの急速な成長と、Amazonがまるで毎日のように提供してくる新しい選択肢に対処している。たとえば、Amazonでスポーツ用品を販売しているベンダーが、最近、「この巨人対策の一切」についてをサポートするコンサルタントを求める依頼をフォーラムに出した。すると、数時間で97件の応募があった。

Amazonの元ビジネス開発マネージャーのフレッド・キリングズワース氏は2015年、シンシナティでヒンジ・コンサルティング(Hinge Consulting)というエージェンシーを立ち上げた。キリングズワース氏の売り文句は、ほとんどの人はAmazonが何であるかを「誤解している」というもの。メーカーや小売業者はAmazonを従来からある量販小売顧客だと見ているが、「実際はプラットフォームであり、売買の手法なのだ」と同氏。Amazonが生み出すビジネスにおいて複数のサードパーティーセラーを管理し、追加の事業負担に対処するのに慣れている企業はめったにないのだという。「我々が(ヒンジを)はじめたのは、小さな会社も大きなブランドも、Amazonで販売を促進し最適化するために必要な協力とサポートを得られていないからだ」と同氏。Amazonがベンダーマネージャーを「数百人」用意するとしても、ベンダーは300万社にも達するのだから。

販売データから販売予測を

ブランドは、もはや機能しない古びた「サプライサイド」の考え方で行こうとしている。たとえば、あるハンドバッグメーカーは、百貨店のメイシーズ(Macy’s)のような小売業者に対し、シーズンごとに約2000SKU(Stock Keeping Unit:最小管理単位)を作る。これはすべて売れるわけではなく、たくさんの過剰在庫を大幅値下げする必要がある。一方Amazonは、過去の販売データを販売予測に役立てることができる。そのためおそらく、同じシーズンに作るのが、たとえばわずか160SKUになる。

しかし、大需要の大きな理由のひとつは、そうした販売データを出し惜しむことでAmazonが有名なことだ。ヒンジなどが入り込めるのはこの部分。どの工場が注文を出して処理したといった要素やその他の指標を検討して、ブランドが活用できる予測を作るプロプライエタリ(独占的)な技術をこぞって売り込んでいる。

「この点でAmazonはブランドにあまり協力しないため、我々がやっている」と、キリングズワース氏は語った。

変更に対処するためだけ人員

ほかに言葉の問題もある。Amazonの高級品部門でかつて働いていたエレイン・クオン氏は、シアトルでクウォンティファイド(Kwontified)というeコマースエージェンシーを立ち上げた。クオン氏によると、ブランドはAmazonが使う言葉について一貫して多くの問題を抱えている。たとえば、小売業者が「在庫切れ」という言葉を使うのに対し、Amazonはそうした商品を「補充可能」と呼ぶ。「言葉の解析」は、Amazonで成功するために、十分に対応できるエージェンシーを雇うことの大きな理由になっているとクオン氏。「ブランドはビジネスの組み立て方を考え直し、認知度と関連性のためにバイイングを変える必要がある」。

Amazonはまた、見たところ予告なしで物事をすぐに変更する。最近では、ブランドが関連性の高い商品を適切に浮上させるためのキーワード間の関係を構築する、いわゆるシーディングに関する方針を変更した。シーディングは、以前は5000文字が上限だったが、250文字に変わったのだ。こうした変更が常にあるため、ブランドは変更に対処するためだけに人を雇う必要が生じることが少なくない。

Amazonは、プラットフォームで販売するブランドたちの力にこんなにもなりたいのだと主張するが、このeコマースの巨人を中心に発生した零細産業からすると、それが物事を複雑にしている。「Amazon Stores」やセルフサービスの広告オプションの立ち上げについて、ブランドと直接話をするための方法だとするコメントを、Amazonの複数の広報担当者が表明している。この記事のためにコメントを求めたところ、ある広報担当者は次のように語った。「Amazonでは、顧客のため、そして一緒に取り組むブランド両者のため、常に新しいものを反復し導入している。幅広いブランドに、ニーズにもっとも合致したものに基づいた複数の方法でサービスを提供できるようにしたいし、ブランドにもっとも有用なものやブランドが提供するものに基づいて、さまざまな選択肢が利用できるようにしたい」。

「助けが必要になる」

「Amazonは、自分たちのサービスは気が利いていて、どれもこれも初期の混乱にすぎず、将来は、誰も助けがいらなくなると考えている」とヘラー氏は主張する。「しかし、実際には極めて複雑だ。Googleの広告を買うのは実際に簡単なのに、Googleのエージェンシーが多数存在するという主張もできるだろう。広告を表示させるためだけに取り組んでいるのではなく、シェアを奪い相手のランチ代を手に入れたいのだ。そうするためには、助けが必要になる」と、同氏は語った。

Shareen Pathak (原文 / 訳:ガリレオ)





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