【宮城発 輝く】マルアラ及川商店 卸から加工に業態転換 – SankeiBiz … – SankeiBiz

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 ■「南三陸」ブランド化

 卸から加工へ-。マルアラ及川商店は、震災の津波により甚大な被害を受け、復興のため業態を転換した。高付加価値型の水産加工業に活路を見いだした。主力商品はたこわさび、ほたてわさびなど、独自の「丸荒」ブランドのギフト用水産加工品。各種珍味は、都内をはじめ、全国の百貨店で販売し、好評を得ている。水産加工で培った技術を生かしたバウムクーヘンも開発。水産加工会社と洋菓子というギャップと、確かな味で、大きな話題を呼んでいる。

 ◆付加価値戦略を展開

 宮城県の北東部に位置し、太平洋に面する南三陸町。世界三大漁場と呼ばれる三陸沖に面し、カキやアワビ、タコ、ワカメ、ホヤ、銀ザケと特産の水産物は、枚挙にいとまがない。豊かな海の恵みで潤った町も、2011年に起きた東日本大震災の津波で大きな被害が出た。水産卸売業者として順調に成長を続けてきた同社も、5つの工場のうち、4つが流されるなど、壊滅的な被害を受けた。

 地元の漁業者や養殖業者にも大きな被害があり、地元水産物の生産は停止。従業員らと力をあわせ、残った自社工場は早期に復旧したが、商売をするにしても売る物がない危機的状態になった。水産卸売業からの大幅な業態の転換が迫られた。「従業員の雇用を確保するためにも廃業は避けたい」。知恵を絞ってたどり付いた結論が、鮮魚などを加工し、付加価値を高めるという戦略だった。

 買い付けた商品をそのまま卸すのではなく加工することで、一定の利益を確保。地元の海産物を安定して買い支えることもできるようになった。

 商品開発は試行錯誤の連続で、簡単な道のりではなかった。従業員の力を借り、家庭の味を再現。特別な技術を使わない、素材の味を生かした珍味は評判を呼び、ぶつ切りにした大粒のミズタコを用いた「たこわさび」は、とりわけ好評だったという。商品の卸先を百貨店などに絞るといった戦略的な販売戦略で、ブランド力の維持にも心を砕いた。

 13年には震災前と同程度の約8億円まで売り上げを回復させた。南三陸町の復興商店街「ハマーレ歌津」にアンテナショップを出店し、自慢の加工食品のほか、加工技術を応用し、自家製のバウムクーヘンを提供。各種マスコミに取り上げられるなど、商店街の名物となった。水揚げに左右されないバウムクーヘンは、経営的にもメリットがあるという。

 心がけているのは話題性と品質の両立。品質には徹底してこだわる。失った4つの工場の機能を集約した新工場の建設も進む。

 ◆地元の味、日本中に

 地域を巻き込んだ新たな取り組みにも力を注ぐ。16年に地元のカキ養殖が、日本で初めて環境・地域社会に配慮した養殖業の国際認証である「水産養殖管理協議会(ASC)」を取得したのにあわせ、ASCに該当するカキを加工・販売できる業者の証明となる「ASC CoC」認証を獲得。町のカキをブランド化することで、少しでも高く評価してもらうことが狙いだ。

 「しっかりした商品、他にない商品をお客さんに届ける」の信念の元、地元の味を日本中に発信する。根底にあるのは、「南三陸町自体をブランド化する」という意識だ。「自分が良ければいいというわけにはいかない。日本全国の人に『南三陸町』を知ってもらうことが大事だ。地域の人にみてもらいながら、オール南三陸の体制つくりをしながらまちを活性化していきたい」と及川吉則社長は語った。(林修太郎)

                   ◇

【会社概要】マルアラ及川商店

 ▽本社=宮城県南三陸町歌津泊浜22

 ▽設立=1987年

 ▽資本金=1000万円

 ▽従業員=30人(2017年12月時点)

 ▽売上高=7億円

 ▽事業内容=水産加工

                 ■ □ ■

 □及川吉則社長

 ■10年後には売り上げを震災前の倍に

 --強みは

 「企画力、アイデアはどこにも負けていない。社員の発案を受け入れる風通しの良さがある。たとえばサケを麹(こうじ)漬(づ)けにした商品は、社員のアイデアが実ったものだ」

 --加工業に転換したメリットは何か

 「鮮魚などの卸売業では、漁の出来不出来や、市場での相場に左右される割合が大きい。産地間の値下げ競争に巻き込まれることもある。加工業に転換したことで業績の安定感が増したと思う」

 --バウムクーヘンを開発したきっかけは

 「地元の子供たちに食べさせたかった。若者は進学、就職で多くが東京に行ってしまう。都会に出る若者に、南三陸町の営業マンになってほしいという思いがある。ここからでも全国、あるいは世界に通用するものができると知らせたかった」

 --なぜバウムクーヘンか

 「水産加工とは結びつかないと思うかもしれないが、火加減や味付け、パッケージングなどのノウハウに、水産加工と共通する部分は多くある。また、バウムクーヘンは日持ちもするしロスも少ない。漁の出来不出来にかかわらず、計画的に生産できる点も良い」

 --将来の目標は

 「現在の売り上げは震災前のそれと内容が重複しない。新工場が完成すれば、現在の加工業に加え、以前の卸売りの分も加わる。あと何年かたてば、南三陸産のおいしい海産物もたくさん取れるようになる。それまでは加工の引き出しを増やす段階だ。5年後には会社を軌道に乗せ、10年後には売り上げを震災前の倍まで増やしたい」

 --観光協会の会長としての顔もある

 「自分の会社よりそちらに集中しているといってもいいくらい。『南三陸』というブランドが売れることが大切だ」

                   ◇

【プロフィル】及川吉則

 おいかわ・よしのり 地元の高校を卒業後、家を継ぎ、マルアラ及川商店の代表取締役社長に。南三陸町観光協会長も兼務。南三陸町の復興と発展を目指して、尽力している。51歳。宮城県出身。

                 ■ □ ■

 ≪イチ押し!≫

 ■「たこわさび」酒、ご飯に相性抜群

 自慢の逸品の中でも特に売れているのが地元産のミズダコを使った「たこわさび」(1瓶150グラム入りで1080円)だ。刺身でも食べられるような新鮮な素材の味はそのままに、ぴりりとわさびを効かせており、お酒に、ご飯に相性抜群で、贈答用にも人気があるという。

 南三陸町志津川はタコ漁が盛んで、「西の明石、東の志津川」といわれたほど品質が良い。元卸業者の目で買い付けた新鮮なタコを大粒にぶつ切りにし、シンプルに味付け。「口に入れるとしゃべれなくなる」というインパクトが受け、大人気となった。約3センチという大きさになったのは、商品の宣伝のための写真撮影の際に、大きめに切って盛りつけたところ評判になったのがきっかけという。

 アンテナショップやインターネットなどで販売している。





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