オリバー・ストーン監督『ウォール街』に寄せて 時計は映画も物語る – GQ JAPAN

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オリバー・ストーン監督『ウォール街』に寄せて──時計は映画も物語る

金無垢のカルティエ「サントス」を纏うのは、マイケル・ダグラス演じる投資家のゴードン・ゲッコー。

筆者は映画の専門家ではないが、ひとつだけ断言できることがある。面白い映画は、例外なく細部まで作り込まれている、ということだ。時計ひとつとっても、後に残るような傑作や名作では、持ち主の社会的立場を反映したものがちゃんと選ばれている。最近の映画でひとつ例を挙げるならば『シン・ゴジラ』、ひと昔前ならば、若手金融家の成功と没落を描いた『ウォール街』になるだろうか。

持ち物で人となりを表す手法を大々的に用いたのは、『ウォール街』が初だったように思う。主人公のバド・フォックスは、成り上がることを夢見て投資銀行に加わった若者。彼が何者なのかは、時計を見ればたちどころに理解できる。入社したてのバドが巻いているのは無名の「ローラス」。しかしハイソサエティの好む、ローマンインデックスの2針であるところに、彼の上昇志向がうかがえる。とはいえ、彼はあくまで新人だ。バドの身分と収入は、時計が金無垢ではなく金メッキであることで暗示されている。

対して、彼の上司にしてメンターであるゴードン・ゲッコーは「強欲は善」とうそぶくほどの悪辣な投資家で、極めつきに裕福だ。それを明示するかのように、彼は金メッキではなく金無垢のカルティエ「サントス」や、ジャガー・ルクルトの「レベルソ」を自在に着けこなす。筆者の知る限り、アメリカのビジネスパーソンは、総じてタフで見栄えのするロレックスを好む。しかしゴードンが金無垢のロレックスを選ばなかったのは、おそらく彼に美術品蒐集家という自負があったためだろう。監督のオリバー・ストーンは、ゴードンをありきたりのビジネスパーソンに仕立てなかったのである。





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