オフィスをブランドに解放する、エージェンシーらの狙い:期間限定店をめぐるウィンウィン – DIGIDAY[日本版]

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ポップアップショップはブランド各社、特にeコマースのブランドにとってカスタマーと長続きする関係を築くための手段となっている。ポップアップショップは体験型の小売スペースだ。彼らはエンターテイメント性のある小売を行うことで、自社製品の拡販と話題づくりを狙う。

ここで問題となるのが、ポップアップショップの空間を用意するのにコストがかさむ点だ。この対応策として、クライアントのポップアップショップのために自社オフィスを提供する広告エージェンシーが増えている。これには以下の2つのメリットがある。クライアントの不動産コストをカットできること、そして体験型スペースを見せることで新しいクライアントの獲得にもつながることだ。

「イノベーションを支援したい」

ここで一例としてデジタルエージェンシーのグロウ(Grow)のケースを見てみよう。今年の春から、グロウは本社のあるバージニア州ノーフォークの2つのオフィスビルのうちひとつを「エンジョイ(Enjoy)」というポップアップスペースとして活用する予定だ。140平方メートルの空間は、昼間はエージェンシーの45人の従業員のランチルームだが、夜になるとデザインや配置を変えてグロウのクライアントやクライアントになる見込みのある企業の体験型のポップアップスペースへと様変わりする。このポップアップスペースはひと晩だけのこともあれば、週末のあいだ、あるいは数週間続くこともある。

グロウのCEO兼エグゼクティブクリエイティブディレクターであるドリュー・アンバースキー氏は、ブランドが現実世界で利用できる体験型スペースには「巨大な」ニーズがあるものの、価格のせいでポップアップショップを実施できない企業は多いと語る。同氏によれば、ノーフォークで140平方メートルのスペースを借りるには、通常1カ月でおよそ3750ドル(約40万円)かかるという。

大都市になるとスペースを借りるコストはさらに跳ね上がる。たとえばニューヨークのノリータで90平方メートルのスペースを借りようとすれば、月に3万5000から4万ドル(約380万から430万円)はかかることになる。

このため、アンバースキー氏は、無料でなくともできるかぎり安価でグロウがポップアップスペースを貸し出せるように計画している。グロウ自身も、リフォームと運用のための初期投資におよそ5万ドル(約540万円)を費やしたと語る同氏は次のように述べた。

「当社のクライアントが、現在なにが好感触かを見つけ出せるように支援したい。だから、これは貸し出すことによる利益が目的ではない。このスペースは、当社のパートナーがイノベーションを起こすためのものだ」。またアンバースキー氏は、こうすることで同社が「(体験型スペースについて)変わった捉え方をしている」ことを周囲に示せるとも語っている。

eコマースに欠いているもの

ホーク・メディア(Hawke Media)は昨年、スペースを買い取り、クライアントが体験型ポップアップショップを開ける共同小売スペース「ザ・ネスト(The Nest)」を作り上げた。ザ・ネストはロサンゼルスでも最先端でもっとも地価の高いアボットキニー通りにある。このベニスビーチからたった2〜3分の場所に位置する100平方メートルのスペースでは、複数企業がショップを開き、自社製品を販売している。

昨年3月から5月にかけて、ホークメディアはeコマースのリッジウォレット(Ridge Wallet)、スウェットテイラー(Sweat Tailor)、バウブルバーブランド(BaubleBar)といったeコマースブランドをザ・ネストに集め、ブランドの知名度向上のためのイベントと新コンセプトのテストを行った。ホークメディアの体験型ショップのチームは、日常的な運営を管理している。彼らの仕事は人員や在庫の管理、SNS上でのペイドメディアによるショップの宣伝、インフルエンサーを活用したイベント、ミュージシャンの招待やヨガ等のイベント開催など多岐に渡る。

「ザ・ネスト」では最大10のブランドが同時にショップを出すことが可能だ

「ザ・ネスト」では最大10のブランドが同時にショップを出すことが可能だ

ホークメディアの創設者でありCEOのエリック・ヒューバマン氏は、「ポップアップショップをやってみたいと考えているブランド、特にeコマースブランドがすぐに利用できるようなソリューションを生みだしたかった」と語る。「物価が高いロサンゼルスの小売で生き残るのは非常に難しい」と同氏。

各企業がこうしたポップアップショップで利益をあげているかといえば必ずしもそうではない。実のところ、ザ・ネストに出店しているブランドは、ホークメディアも含めて収支はほぼプラスマイナスゼロの状態だ。毎月ホークメディアはeコマースブランド10社をローテーションしており、そのうち半数は既存のクライアントとなっている。そして各ブランドは運営コストを均等に負担している。ヒューバマン氏は額こそ明かさなかったが、全体のコストは各々でスペースを借りるよりはるかに安くなっているという。

ホークメディアで体験型マーケティングプロデューサーを務めるカロリーナ・スウィートニオウスカ氏は、「ザ・ネストならば、ブランドが短期的に試したいものを出店し、長期的な小売に踏み切るべきかどうかを見定められるため、最初から5年や10年間スペースを借り受ける必要がなくなる」と語る。

また、こうしたポップアップショップはマーケティングで非常に効果的だとするヒューバマン氏は次のように語った。「ブランドエクイティの観点からすると、実際にカスタマーの目に触れるショップがあるのは非常に価値がある。もちろんeコマースは素晴らしいが、このような直接的に触って感じるという側面を欠いているのも事実だからだ」。

ザ・ネストの運営は今後も続けていくと同氏。ホークメディアはそれだけでなく、アート・バーゼル(Art Basel)やサウスバイサウスウエスト(South by Southwest)、果てはカンヌといった大規模なイベントにまで広げていくことも考えているという。

アプローチを試す場所

人工知能(AI)や拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、音声をはじめとするマーケティング技術の成長も、こうした一時的な現実空間のスペースのニーズが増えている一因となっている。ブランドはこうした技術の発達によりカスタマーと交流する新たな手段を手に入れた一方で、自らのアプローチを試すための場所とオーディエンスもまた必要になったのだ。エージェンシーのなかには、自社のポップアップショップをブランドに一時的に提供し、最新技術を披露しているところもある。

たとえばツールオブノースアメリカ(Tool of North America)は、グッドボーイボブ(Goodboybob)という名前の「複合現実(MR)の喫茶店」をカリフォルニア州サンタモニカに作った。ここではアボカドトーストなどを食べながら、カスタマーがクライアントの仮想現実や拡張現実のプロジェクトのプレビューを楽しむことができる。

この場所がもっと素敵になる。週末にぜひ。今週末から新たに土日の特別営業を開始。  #gbbgiveawayの優勝者@maegermeisterさん、きれいな写真をありがとうございます。

Ilyse Liffreing(原文 / 訳:SI Japan)





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