クラブのママ=高本良彦 – 毎日新聞

Home » 銀座 » クラブのママ=高本良彦 – 毎日新聞
銀座 コメントはまだありません




 深夜に大人をドキドキさせたテレビ番組「11PM」。50代以上の方なら覚えているだろう。司会の大橋巨泉と一緒に1968年2月から8月まで出演していた銀座のクラブのママ、堤妙子も粋で当意即妙の会話が人気だった。銀座の夜に、作家や音楽家ら文化人が集まっていたころの雰囲気を濃厚に伝えていたのだ。

 かなりしっかりしたつくりのソノシート、「堤妙子・中央区銀座7丁目コリドー街 ばんく 1周年記念」を手に入れた。いつつくられたかは書いておらず、わからない。

 興味深いのは、表裏ともに劇作家・内村直也が作詞していること。特に表の「青い蒼い碧い海」は、クラシック音楽界の大物、團伊玖磨が作曲している。

 ♪銀座の夜にわたしは歌う/知らない人と/わたしは踊る……。内村は50年代から、ラジオやテレビドラマの作者として、またイプセンやギリシャ悲劇の翻訳者としても名をはせた。

 作詞者欄には直筆の名が印刷され、特別の一枚に見える。裏面は「弔辞」と題された曲。重松岩雄の作曲だ。

 聴くと、さまざまな想像がわき起こる。クラブのママが、内村との永遠の別れを惜しんでいるのだろうか? いつくしむかのようにつくったシャンソン風の曲で、ごくごく個人的な、親友さながらの常連に贈ったレクイエムなのだろうか?

 いかにも、粋だ。(音楽評論家)






コメントを残す