鳴り物時計第4回「ミニッツリピーター Part.2」(1/4) – クロノス日本版

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ブレゲ「トラディション ミニッツリピーター トゥールビヨン 7087」
このモデルは、“B”を模したユニークな形状でサファイアクリスタル風防につながるゴング、下から垂直方向に叩くハンマー、前もって20万通りから選んで決めた理想的なストライク音、プッシュボタンによる作動など、伝統的な構造とはまったく異なり、あらゆる点で革新的。6件の特許取得。2016年発表。自動巻き(Cal.565DR)。58石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。18KWG(直径44mm)。4988万円。㉄ブレゲ ブティック銀座 ℡03-6254-7211

奥山栄一:写真
Photographs by Eiichi Okuyama
菅原 茂:文
Text by Shigeru Sugawara

 ミニッツリピーターは、永久カレンダーやトゥールビヨンと並んで機械式時計における古典的な3大複雑機構に数えられる。この中で最も古くからあり、伝統的なスタイルを今なお守っているのがミニッツリピーターと言える。前回紹介したように、時刻を音に変換するためのカムの仕組み、ハンマーとゴングによるチャイム音、時間・15分・1分の組み合わせによる時刻表示など、基本的な作動原理と機能は懐中時計の頃とほとんど変わりない。伝統的な機械式時計が現代の先端技術によって進化し続ける中で、ミニッツリピーターだけがそのような潮流の外にあって、悠然と我が道を歩んでいるかのように見える。しかし、最近になって興味深い革新が続々と登場してきて、にわかに活気づいてきた。これからいくつか紹介しよう。

 まずひとつが音響科学的なアプローチである。筆頭は2016年にオーデマ ピゲが発表した「ロイヤル オーク コンセプト スーパーソヌリ」だ。トゥールビヨンとクロノグラフにミニッツリピーターを組み合わせたこのモデルは、「スーパー」と名乗るだけあって、発する音が従来品より格段に大きいのが特色。鐘に相当するワイヤー状のゴングをムーブメントに固定するのではなく、時計部分から独立させ、特殊なハーモニーテーブル(音響盤)に取り付けて反響音を増幅させるという仕組みだ。バイオリンやギターのように、弦の振動がサウンドボード(表板)を伝ってボディの鳴りを生むのと同原理である。

 同じ2016年にはブレゲからも革新的なミニッツリピーターが発表された。「トラディション ミニッツリピーター トゥールビヨン 7087」だ。従来との大きな違いは、ハンマーとゴングの構造である。時計のダイアル側に露出したゴングは古典的な円環ではなく、ブレゲのイニシャル“B”を模した非常にユニークな形状をしている。これがサファイアクリスタル風防につながり、風防内の空洞とケース内部の共鳴室を響きに利用するのだ。しかもハンマーがゴングを横からではなく、下から打つ縦運動を行うことで振動が効率よくゴングに伝わり、音量を増幅する。さらにリピーター機構が発する音色についても、独自のアプローチを採用。前もって音を決め、それに合わせて時計を開発したのである。実際に、音響科学を駆使して20万以上もの音を分析し、そこから理想的な音を選び出して設計された。





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