<NEWS EYE>「京小麦」ブランド化狙う – 読売新聞

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 ◇「せときらら」推奨 増産へ

 府内産の小麦を「京小麦」と名付け、ブランド化を目指す取り組みが始まった。京都市はパンの世帯別年間購入数量が全国1位で、個性的な店が競合する京都ラーメンも観光客の人気を呼ぶなど、実は小麦との縁が深い。全国的に知名度の高い「京野菜」に肩を並べられるか。(橋間督)

 小麦が収穫時期を迎えた今年6月、府内の農家は今までとは違う品種を一斉に刈り取った。6年前に広島県内で開発された「せときらら」で、たんぱく質のグルテンを多く含み、パンや中華麺の原料に向く。

 府は長年、天ぷら粉などに適した品種を奨励してきたが、昨秋の種まきから「せときらら」の推奨を始めた。推奨にあたり、農場での実証試験などに3年間取り組んだ府農林水産技術センター(亀岡市)の林健さん(45)は「肥料の与え方で特に試行錯誤を重ねた。品質は初年としては合格点の出来栄え」と手応えを感じている。

 今季は天候不順のため、福知山、南丹市や久御山町など府内約70農家での収穫量は約180トンにとどまったが、農地の水はけの改善などが進めば今後、増産が見込めるという。

 食の欧米化が進み、小麦は今の日本人に欠かせない食材だが、大半は輸入品が占める。国内の年間需要量約580万トンのうち8割以上は米国やカナダといった海外産が占め、国内最大産地の北海道でも生産量は年間60万トン前後に過ぎない。

 府内産は、戦後の食料増産が急務だった1960年頃がピークで6000トンを超えた。だが、農家の高齢化などもあって現在は200トン程度に落ち込んでいる。学校給食のパンの原料などとして大半が消費され、府内産が一般消費者の目に触れる機会はほとんどない。

 そんな現状の打破を目指すのが、1930年の創業で、南区に本社を構える「井澤製粉」(従業員34人)だ。小麦を扱う府内唯一の製粉会社で府内産は全量を同社が買い上げてきた。

 近年、食の安全や地産地消への関心の高まりから府内のパン屋などから「府内産小麦をもっと回してほしい」といった声が届くようになった。

 「パンやラーメンが大好きな京都人に見合った小麦に転換できないか」。井澤雅之社長(56)が府や生産者団体にそう訴え続けた結果が、「せときらら」の推奨品種への採用だった。

 

 ◇来年「収穫祭」

 同社は来年1~2月にPRイベント「京小麦の収穫祭」を初めて開く。府内のパン、ラーメン、お好み焼き、イタリア料理店など約60店が参加し、今年とれたばかりの京小麦100%にこだわったメニューを各店で提供する予定だ。

 井澤社長は「京小麦を売りにする店が増えれば農家のモチベーション(やる気)も上がるだろう」と話す。

 

 ◇京都のパン文化作る/安心安全な麺を

 パン工房「ブーランジュリー オペラ」(上京区)の小西しゅんさん(41)は京小麦の発展に期待を寄せる一人。「世界にも自慢できる様々な食文化を持つ京都人がこよなく愛する食べ物の一つがパンなのに、小麦はよそに頼っていることに寂しい気持ちがあった」と言う。

 今は仕入れられる量が少ないものの、クロワッサンなどに使っている。「フランスや北海道産に比べたら府内産の品質はまだまだ。でも、だからこそパン職人の腕の見せがいがある。農家とも意見交換し、新しい京都のパン文化を作っていけたら」と夢を膨らませる。

 自家製麺にこだわる右京区のラーメン店「鶴武者」店主の西村佳哲よしあきさん(48)は「安心安全な1杯を提供しようと思えば顔の見える農家、つまり地元産がベスト」と言う。現状は北海道産が中心だが、供給量が増えれば府内産にシフトしていく考えだ。「『京都産の小麦なんです』と紹介できたら、お客さんも目を輝かせてくれるでしょう」と話す。





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