パルミジャーニ・フルリエ/トリック part.3(1/3) – クロノス日本版

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インスピレーションを具現化する
リアル・マニュファクチュールの総合力

わずか20年で、独立時計師のプライベートブランドから、成熟した時計メーカーへと変貌を遂げたパルミジャーニ・フルリエ。
単に規模を拡大するだけでなく、ムーブメントを内製し、さらに外装まで手掛けるようになったのだから、最も成功を収めた例と言える。
ミシェル・パルミジャーニの発想を現実にする、マニュファクチュールとしての実力を、改めて解き明かしたい。

吉江正倫、三田村優:写真
広田雅将(本誌):取材・文
[連載第42回/クロノス日本版 2017年11月号初出]

 著名な時計師にして、自らの名を冠したブランドを成功させた例はいくつもない。フランク・ミュラー、フランソワ-ポール・ジュルヌ、そしてミシェル・パルミジャーニぐらいだろう。しかもビジネスとしての規模と、時計作りの質を高度に両立させたという点で、ミシェル・パルミジャーニに比肩する時計師はいない。

 現在のパルミジャーニ・フルリエは、ムーブメントを製造するヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエや、文字盤などを手掛けるカドランス・エ・アビヤージュなどと共に、ポール・オルロジェ グループを形成している。年産数千本という規模にもかかわらず、パルミジャーニ・フルリエが、スイス屈指の一貫生産体制を持つ理由だ。

 「1996年に会社を興した際、どんな部品メーカーも小ロットでは部品を売ってくれなかった。また買えたとしても、私の求める基準を満たしているとは言い難かった。結局、部品を自分で作るほかなかったのです」(パルミジャーニ)。創業間もない1997年、パルミジャーニはムーブメントメーカーのヴォーシェを設立。以降、部品やケース、文字盤の内製化にも取り組むようになった。

カドランス・エ・アビヤージュ社では、今なお古典的な手法で文字盤の表面を均している。ブランクの素材を、磨き粉を付けた円盤に当てて表面を均し、その後に銀粉と塩を混ぜたものを載せ、水をかけ、ブラシでこすって表面をわずかに荒らす。こういった工程を自動化するメーカーは少なくないが、同社には多くの手作業が残っている。

 今や、風防と針以外の部品をすべて、グループ企業でまかなえるパルミジャーニ・フルリエ。わずか20年で体制を整えられた理由は、サンド・ファミリー財団の強力なサポートがあればこそだった。スイスの製薬メーカー、ノバルティスの創業家が設立したサンド・ファミリー財団は、収蔵品の修復をパルミジャーニに委託するだけでなく、スポンサーとして彼のビジネスを支えてきた。パルミジャーニに才能があればこその手厚い援助だが、サンド家の財力と組織力は、パルミジャーニ・フルリエを短期間で、スイス屈指のマニュファクチュールに育てたのである。

 もっとも、ポール・オルロジェの各社が、(部品価格が驚くほど高いにもかかわらず)スイスの時計業界から敬意を払われる理由は、自分たちが納得できる高品質な部品を作りたい、というパルミジャーニの姿勢があればこそだった。

 例えば、脱進機やヒゲゼンマイなどを製造するアトカルパ。現在はスイスの各サプライヤーでも脱進機を作るようになったが、アトカルパ製が最優秀とされている。大きな違いは素材。アトカルパが脱進機に使うのは、一般的なマルエージング鋼ではなく、より硬い炭素鋼である。硬さが1.5〜2倍も違うため、加工は難しくなるが、高級機にはうってつけだ。脱進機の価格はニヴァロックス製の3倍以上もするが、年間30万セット以上も売れている。またヒゲゼンマイの素材も、ニヴァロックスと同じくドイツのカール・ハース製だが、700㎏で数十万スイスフランもする素材を買えるメーカーは、世界にいくつもない。アトカルパの関係者が「ニヴァロックスより品質は高い」と胸を張るのも納得だ。





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